Experience Prototypistのマルチリンガル子育て+プログラミングブログ

Design Thinking、語学(英語、中国語、韓国語)、日中マルチリンガル育児、littleBitsやRaspberry Pi, Arduinoを使ったExperience Prototypingネタ。

アメリカ出張中

今日からアメリカ出張中です。到着が朝になるので、これまでは行きの飛行機ではできるだけ寝るように努力していたのですが、今回は思いっきり寝ないようにした所、これまでよりも調子は良いようです。

寝ないで何をしていたのかと言うと、映画見ていると頭が興奮してしまうので、おとなしく本を読んでいました。これまでも読みたいと思っていた1冊と、1冊だけというのも何だからということでもう1冊を空港の書店で購入。

言わんとしていることは全く別の事なので(1冊は国家論、もう1冊は仕事論)直接比較の対象にはならないにせよ、前者は品格をもつ国、日本たれというある種、日本特殊論(といってもナショナリズム的な指向ではなく、ヨーロッパの各国家が固有の均質化していない特徴、品格を持っているのと同様に、日本も日本の独自さで世界に尊敬されるようにすればいい。例えば欧米には(宗教上受けいれられにくい)中東に対するコミットメントなど、日本がリードを取れる分野は少なくない、など)、後者はグローバル・スタンダード(というかアメリカン・スタンダード)指向の内容。

飛行機の中でさっと読み終えての簡単な印象をまとめると、

  • 国家の品格 (新潮新書) - 日本には歴史的に誇りうる文化や日本人独自の感受性があり、そういった物を大事にすることの重要性自体は事実であろう。また、グローバル・スタンダードでしばしば言われる論理というものが、戦争の際に勝者・敗者のそれぞれが「正当な理由」を以て開戦していることや、あるいは「どうして人を殺してはいけないのか」に論理が答えを提示できないことからも事実であろう*1。したがって、日本が品格ある国家を目指し、(失われつつある)武士道的精神を以て不戦の誓いを以て、国際的に尊敬される国家になるべきだという論は非常に分かりやすい。それならば、なぜ国民全体を通しての誇るべき識字率の高さなどを持った江戸時代を経て、明治維新により一気に国家の近代化を経た武士道的精神を持った日本が、武士道的には卑怯ではない(弱い物いじめではない)日露、日米戦争だけではなく、卑怯な(列強により弱体化された)弱い物いじめである日中戦争に向かったのかが説明されていない。また、現実問題としては、自国の国益を盾に「品格ある国家」も戦争をしている。ただし、日本が戦争を起こした反動として、「国家が(国境が)あるから戦争が起きるんだ」みたいなエセ・コスモポリタン思想がサヨク的な人たち(日教組系の教員など)によりまき散らされたことは、もう少しちゃんと指摘しても良かったのではないか。それこそ「論理的」な話になってしまうが、戦争なり人殺しがいけないのは、自分がやられたらいやだから、人にも(他国にも)しないようにしましょうというだけの話である。自国を愛する人だからこそ、同じく自国を愛する他国の人を理解しうる。それこそ、例外的に人殺しが許される状況があるとすれば、おそらく自分も同じ状況ならそうしたのではないだろうかという強い共感が得られる(目の前で自分の子供が殺されそうになったので、人殺しに銃口を向けたなど)状況であって、これなら「論理的」破綻もないような気がするのだが。とはいうものの、何が「守るべきもの」なのか、その認識の違いが戦争の原因となっているケースも少なくはないので、軽々しいことは言えないのだが。
  • それでも外資系で働きますか―Inside Gaishi (Yosensha Paperbacks) - 日本の企業がいやだから外資系企業に入る、と言う人が日本の企業に感じる問題点(セクハラ、社内政治)が外資系企業にもあること、外資系企業ならではの問題点も少なくないこと(失敗の押しつけ、成功の横取り、本社から派遣された上司在任期間中のお守りと事なかれ主義)等が丁寧に説明されている点には好感を持ったが、途中からトーンが、外資系企業(というか欧米企業)も悪いが、日本の(日本人の)ここが悪いという指摘に重点が一気に移っている感がある。もちろん、日本にいて日本語も話さないで短期ステイで印象だけをぶちまけるような浅薄な日本論にはなっていないにせよ、ちょっと焦点が絞れていないような気もする(もちろん、言わんとしていることは、外資系企業で植民地主義的に言いなりに働くのではなく、物言える外資系プロ社員たれ、ということなのだろうが、そのトーンが弱いのでゴールのない日本批判になっている気がする)。

これだけ振れ幅のある2冊を密室で続けざまに読むというのは、まぁ、面白い体験でした。

あとは週刊文春には前田日明佐山聡のウン年ぶりの対談は載っているし、ニューズウィークにはアメリカ最新栄養ドリンク事情が載っていたり(早速何本か買ってきました)、飽きずに飛行機の中で過ごすことができました。