どうやら海外でKDDI版iPhone4Sを使うのであれば、音声通話ローミングはオンにしておき、データローミングをオフにする(通信が必要であれば、WiFi等、別の手段を使う)というのが良さそうな気がしますが、音声でなく文字でメッセージのやり取りはできないのでしょうか?
Softbank版(GSM/W-CDMA版)iPhoneであれば、データローミングをオフにしていても(音声通話ローミングしかしていなくても)、SMS(iPhone4Sのアプリケーション名で言えば「メッセージ」)を使うことにより、電話番号を宛先にしてショートメッセージのやり取りが可能です。特に海外で現地の人とメッセージのやり取りをするような場合であれば、Eメールではなく、SMSでというのは極めて一般的な話です。
Softbank版iPhoneであれば、海外でSMSを送信するのに100円/通、docomoであれば50円/通かかるので、必ずしも安い、というわけではありませんが、あくまでも「データ通信」でやりとりしていくのではなく、「音声通話」としてやりとりしているので、ローミング先のキャリアが「海外パケットし放題(softbank)」や「海外パケ・ホーダイ(docomo)」の対象キャリアでなくてもよいというメリットがあります。つまり接続先キャリアは自動設定しておけば、音声通話(発信・着信)とSMS(送信・受信)は利用可能な電波をとにかく使う、という点で現地の人と同等の接続性を確保することができます(そもそも、繰り返しになりますが、現地の人と携帯電話で文字メッセージのやり取りをするというのであれば、メールではなくて、SMSが唯一の選択肢と考えておくのが間違いがありません)。
さて、KDDI版iPhoneはどうでしょうか? ホームページ上の国際サービスの説明を見ると、
CDMA圏内ではSMS(i)の送受信が可能です。GSM/UMTS圏内でのSMS(i)については今後対応を検討しています。
http://www.au.kddi.com/iphone/service/
との記載があります。CDMA圏内というのは、すでに米国編(1)でも説明しましたが、アメリカにおいてはVerizonの回線に接続し、左上のキャリア名に Roaming と表示される状態を指しています。この状況で、別の携帯電話(ここではdocomo版iPhone)から「データローミングをオフにしてある」KDDI版iPhone4SにSMSを送信してみましょう。
docomo版iPhoneからSMSを送信 | KDDI版iPhone4SにてSMSを着信 |
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CDMA圏内であれば、問題なくSMSの受信ができて良かった良かったです(もちろん、欧州等CDMA圏外では送受信できないとKDDIに言われてしまっているので、さっさと対応の検討を終えて、サービスを提供していただきたいわけですが)。
さて、受け取ったSMSに対して、返事をしましょう。つまり、KDDI版iPhone4Sから(VerizonのCDMA回線を使って)SMSを送信してみます。
赤い!が表示されてしまい、送信に失敗してしまいました。実は先ほどのホームページ上の説明にも
なお、モバイルデータ通信を「OFF」にした際にはSMS(i)の送信およびインターネット接続ができなくなります。
http://www.au.kddi.com/iphone/service/
という説明があったのでした。つまり、SMSは音声回線を使う(データローミングは不要)というのは、GSM/W-CDMAの常識であって、恐ろしいことにCDMAの世界ではSMSの送信に関しては音声回線の他にデータ回線を使用している(データローミングが必須)ということになります。なお、キャリアが提供するデータ回線以外の手段(=WiFi)をオンにしてデータ通信ができるようにしておいても、SMSが(データローミングなしで)送信できるようにはなりません。
ということで海外でSMSをフル活用するにはデータ通信費用青天井を覚悟する必要があります(正確に言えば、データローミングをオンにしないとSMSは送信できない、オンにしてしまえば海外ダブル定額対象外のキャリアと接続してデータ通信が行われてしまう結果、データ通信費用が青天井となってしまう)。
ちなみに、海外ダブル定額に関するKDDIの説明ページはこちら(http://www.au.kddi.com/service/kokusai/packet/index.html)です。
さて、ここで勇気を出してデータローミングをオンにしてみます。上記のKDDIの説明ページによれば、アメリカにおける海外ダブル定額の対象オペレーターはCDMAはVerizon、GSMはAT&Tなので、左上のキャリア名表示が Roaming または AT&T 以外に変わってしまった瞬間、青天井への道、まっしぐらです。
iPhoneでは送信に失敗したSMSは赤い!をクリックすることで簡単に再送信が可能です。
KDDI版iPhone4SにてデータローミングをオンにしてSMS送信 | docomo版iPhone4にてKDDI版iPhone4SからのSMS受信 |
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無事に送信、およびdocomo側での受信に成功しました。docomo側iPhoneはデータローミングはオフのままなので、SMS受信に際して費用は発生していません。
ただ、KDDI版iPhone4Sでも(データローミングをオンにすれば)SMSが送信できることについて説明をしてきましたが、そもそもSMSを使いたいのは現地の人と連絡をしたいから、ということを考えれば、この検証が本末転倒であるとも言えます。そもそもKDDIは現状、海外キャリアとのSMSのやり取りができないのでした。