Experience Prototypistのマルチリンガル子育て+プログラミングブログ

Design Thinking、語学(英語、中国語、韓国語)、日中マルチリンガル育児、littleBitsやRaspberry Pi, Arduinoを使ったExperience Prototypingネタ。

スチューデント・シティに参加

毎週土曜日のダイエットプログラムは先週末で終了したこともあり、昨日(6月8日)の土曜日はかねてから参加したいと思っていた、品川区のスチューデント・シティに参加した。

スチューデント・シティとは、ジュニアアチーブメント日本(http://www.ja-japan.org)と品川区教育委員会(http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/menu000009000/hpg000008911.htm)による教育事業で、区内の全小学5年生の生徒を対象にした経済活動の体験学習プログラムといったものだ。

キッザニアが仕事を体験するというところにフォーカスしている、といういい方をするならば、スチューデント・シティは仕事も含む経済活動を範囲としているという言い方ができるだろう。事業計画を立て、銀行から融資を受け、営業(契約書の締結→請求書発行、売り上げの回収)とそれに伴うバックオフィスでの事務・経理処理までが含まれている。

体験できるシゴトは、citibank、FedEx、セブンイレブン、クオール薬局、ゼビオ、富士ゼロックス、SECOMの各社に加えて、5月11日から私が勤めるSAPジャパンも仲間入りさせてもらっている。

  • SAPジャパン、ジュニア・アチーブメント日本と品川区教育委員会共催の小学生向け体験型経済教育プログラム「スチューデント・シティ」に参加(http://www.sap.com/japan/press.epx?PressID=20853)

子供たち(=小さな同僚たち)にとっては、事前学習をしてきているとはいえ、SAPという会社はよく分からない中、(少なくともこれまではコンシューマーマーケットにプレゼンスがあるわけではないので)、次のような仕事に取り組んでもらった。

  • BtoC商品のレンタル (iPadで動作するお小遣い帳)
  • BtoB商品の販売 (企業内会計システム)
  • デザイン思考によるイノベーション提案 (企業コンサルティングとソリューション提案)
  • 上記の各業務を遂行するために必要なバックオフィス業務

BtoCはお客様に商品を渡す→代金を受け取る(+レンタルなので最終的には商品を回収する)なので、BtoBに比べるとはるかに分かりやすいのだが、BtoBを理解してもらうのはなかなか理解しにくいようだ。理屈なりフローで説明するというのも一つの手だろうが、契約が取れる、あるいは売り上げが回収できた営業さんを拍手で労うことにより、どうして自分の仕事が大切で、仕事を達成するとみんなが喜ぶのか、というbackwardな理解もここではありたろう。

デザイン思考によるイノベーション提案に関しては、観察→共感→アイデア→プロトタイピング(およびその後に控える実行フェーズ)を通じて、こんな事を学んでもらえたのであれば、良かったのではないかと思う。

  • 観察→共感を通じ、世の中の人(ステークホルダー)がどんなところにどんな感情・思い・感想をもっているのか。
  • そう思わせる、考えさせる原因はなんなのか。それをよりよい体験に変えるには何を変えればいいのか (改善レベルからプロセスの組み直しといったレベルも含め)。
  • その仮定は本当に正しいのか。頭の中のアイデアをプロトタイプで触れられる形にしての検証、およびクイックなバージョンアップ。

ただ、ここまで理解してもらえたら本当にすばらしいのだが、最後までやり遂げるということよりも、小さな同僚たちにはぜひ、製品は(新しいデザインを具備した)新製品を出すことによって変えられる、会社や社会は仕組みをリデザインすることによって変えられる(学校だってそうだ)ということが重要じゃないかと思う。なんで勉強しなきゃいけないの、とか何でイジメはいけないのってのは(ロジカル思考でも説明はつけられるだろうけど)、共感から始めて考えたほうがよっぽど腹落ちするのではないのだろうか。

対象が中学生や高校生ならば、ぜひ、「変える」の一手段としてベンチャーを起業するというのも欲しいところだ。今回のような大企業での就業体験というのは世の中を知る上で非常に重要なのは間違いないのだが、自分で起業するには桃太郎的に仲間を集めるプロセスも重要だし(鬼を退治するには、自分と同じタイプの戦士だけでなく、いろいろなスキルを持ったパートナーが必要だ)、株主からの投資を受け、その投資に応えることが必要だ。そして何より、失敗が許される。