Experience Prototypistのマルチリンガル子育て+プログラミングブログ

Design Thinking、語学(英語、中国語、韓国語)、日中マルチリンガル育児、littleBitsやRaspberry Pi, Arduinoを使ったExperience Prototypingネタ。

読書録

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

★★★★☆

クリステンセン先生はハーバードで「イノベーションのジレンマ」を始めとして技術経営に関して、さまざまな形で講義を行ったり、名著を残してきたのだが、本書はある意味、それらの集大成といえるべきものだ。

集大成といっても「まとめ」的なものではない。実際、まとめとしての網羅性であったり要約感というのは本書にはほとんどない。むしろ、ハーバードで学んできた学生達が社会に出てからリタイヤまでの、もっと言えば人生全体を幸せに暮らすにはどうしたらいいかを語った最終講義である。

成功キャリアを重ねる中で悪事に手を染める、そんな誘惑であったり状況に陥りそうになったとき、(あるいはあなたが出世指向でなかったとしても)家族との関係をどう築いていくのか(ワークライフバランス等)。とかく学校にせよ会社にせよ、何をやるのかを指し示すことはあっても、キャリアのなかでそれをいつやるのかが明確に示されることはない。

キャリアを通じて(高いお金を払い、また時間も投資して学校に行くのは)より幸せになりたい、という思いからなのだろうが、そもそもその幸せってのは何よ?という根源的な所からの問いが、モラリスト的な押しつけがましさではなく、説得力を持った形で迫ってくる。少なくとも私には迫ってきた。

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

マインドマップ デザイン思考の仕事術

★★★★☆

マインドマップの本はそこそこ豊富に、デザイン思考の本も最近増えてきているが、(これほどお似合いにカップルと思われる)マインドマップとデザイン思考を組み合わせたテーマでの書籍は私の知るところ、これが初めてではなかろうか。

著者のお二方はもともとがデザイナー系の出身ということもあり、マインドマップを「きれいに」描く点に関しては、独自の大胆な着想とアイデアを出されていて、読んでいる側も気持ちが良い。一方、デザイン思考(ビジネスなりイノベーションへの落とし込み)に関しては、Tom Kelly本等を参照・引用しながら丁寧にまとめられており、非常に好感が持てる。

表現手段がマインドマップであろうと、マンダラートであろうと、ターゲットとする問題のさまざまな側面であったり、ステークホルダーであったりを360°、自分の手で描いてみることは(デザイン思考や、読書記録、議事録取り、自己の振り返りに)大いに役立つところだろう。新書で読みやすいのも吉(電子書籍版もあったはず)。

マインドマップ デザイン思考の仕事術 (PHP新書)

マインドマップ デザイン思考の仕事術 (PHP新書)