Experience Prototypistのマルチリンガル子育て+プログラミングブログ

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今さらながら「iモード事件」読了

あまりに売れた本なので(だからこそ私もブックオフで100円で買えた訳なのだが)、積読状態だった松永真理さんの『iモード事件』を会社の行き帰りで一気に読了した。

以前、日本経済新聞の夕刊で2ヶ月くらいにわたってコンテンツを提供する側を取り上げた連載記事があって、興味深く読んだのだが、iモードの誕生をドコモ側から書いたものとして非常に面白く読むことができた。

頭脳作業(というかペーパーワーク)の雄であるマッキンゼーからの提案で始まったiモードが、ドコモの榎さんという強力なドライブフォース(かつシェルター)と、松永さん、夏野さんというドコモ外からのジョイン組み、笹川さんを始めとする若手組によって、途中、マッキンゼーはコンテンツがあるところから(金で)かき集めて、とりあえずたくさん用意しておくことを主張したのに対し、編集者出身の松永さんは厳選主義を貫いた(かつ夏野さんはコンテンツ種別ごとにセグメント分けを計り、種別の万遍なさを確保した)あたりは紙幅も割かれており、読み応えがあった。

会議の主導権をマッキンゼー側からドコモ若手が奪ったあたりから、マッキンゼーの影が突然薄くなるのだが、(間違いかもしれないが)恐らくはマッキンゼーがそこで抜けた訳ではなく、社員のアイデアに論理的な裏づけを与えたり、黒子として働き続けたのだと思う。コンサルティング・ファームについては、いろいろと否定的な論調で語られることが多い(本書の冒頭もわりとそういった感じである)のだが、むしろ、本書ではそんな(業務として「No」ということを余儀なくされている)コンサルティング・ファームを如何に有効につかって、成功に結びつけるのかという処方箋が示されていると思う。

iモードの成功には、外部人材の登用、若手の投入などいろいろな要因があるだろうが、一番の原因は、私なりに分析すると、編集長−編集部員のような関係性かと思う。編集部員は編集長に対してどんなことでも自由に言うことができるのだが、最終的には編集長が決断を下す。そこには別に多数決があるわけでも論理があるわけでもない。ただし、どんな決定であれそれが編集長の独断であるというふうに思われてはいけない。この人の言うことを聞けば成功する、この人に認められるために一生懸命働くというそんな「この人」の存在こそが成功の要因であろう。

後は映画『七人の侍』が観たくなります、そんな読後。

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