先週末は中国往復ということもあり、行き帰りの機内で多少まとまった時間が出来たので、2冊本が読めた。
一冊目は、「中国ビジネスは俺にまかせろ−上海の鉄人28号 古林恒雄」。
- 作者: 山田清機
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2011/02/18
- メディア: 単行本
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古林氏は帯のことばを借りれば「カネボウ社員時代、中国で自ら20数社を立ち上げ、現在、大小の日本企業850社のコンサルティングをこなす彼こそ中国進出ビジネスの歴史である」という鉄人というか超人である。文化大革命末期の1975年から中国に渡り、技術社員として工場の立ち上げに関わってきた古林氏が、中国において(エンジニアから)ビジネスに自分のキャリアをどうシフトし、さまざまな事案に対してどう振る舞ってきたのかが、著者(山田清機氏)の生々しい筆致によって描き出された好著であった。
私自身は本書に書かれた華鐘コンサルタントには知っている人が何人かいるのと(中のストーリーに関しては1975年以来の話なのでむしろほとんどが知らない話ではあったが)、古林氏にも一度ではあるが上海でお会いしたことがあったので、非常に興味深く読むことが出来た。とりわけ、最近、堀江貴文氏が収監された際に来ていたTシャツ Go to Jail (http://smalldesign.jp/?pid=32471014 )にも並ぶ6社の上から3番目がカネボウ(Kanebo)だったわけだが、同社破綻の原因となった在庫押しつけと労使馴れ合い路線に関して(私ですら破綻前からカネボウ社員からその手の話は聞いていたのだが)古林氏がどう考え、折り合いをつけたのか、というところに関しては、非常に興味深く読むことができた。
二冊目は、中国関連とは言え、先ほどの古林本とは違ったタイプの1冊「常識外日中論」。中国で一番有名な日本人、加藤嘉一と歌舞伎町案内人、李小牧氏の対談本だ。
- 作者: 李小牧,加藤 嘉一
- 出版社/メーカー: メディア総合研究所
- 発売日: 2011/04/25
- メディア: 単行本
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加藤氏とは面識はないのだが、twitterや微博での発言は見るようにしている。強みは中国で高等教育(北京大学)を受けて、巧みな中国語で発信できる語学力+交渉力(自分の意見をパブリックにすることができる能力)だろう。弱みは日本でのビジネス経験の欠如だろう(一貫して中国で地歩を築いているという意味では、上述の古林氏と一緒だが、ここが異なる。ただし、加藤氏は加藤氏の発展の仕方があろう。私がしばしば口にすることだが、英語の出来ないアメリカ通が存在し得ないのに対し、中国語のできないえせ中国通が多いことから考えれば、なおさらだ。)。
一方で李小牧氏。先方は私のことは(当然)知らないだろうが、私は歌舞伎町の街角で、いろんなお店で氏を見かける(去年は結構歌舞伎町で遊んでたし)。握手してもらいたい衝動を抑えるのが大変な色男だ。氏の著作が氏の思いをどれだけ反映しているのかは知らないが。
この両名、お互いにお互いの国にいるという点では共通しているが、考え方等はあまりかみ合わないし、お互いに日本人的に「まぁまぁまぁ」見たいな合わせ方はしないので(そんなことして欲しくもないが)、正直、教育論や領土論は(「実効支配」を軸とした他は)他でも語られてきた話かな、とは思う。逆に他で語られないような話題としては、日中女性論(イコール男性論にもなるのだが)は刮目すべき価値があったかな。行間をかなり深く読み込む必要がありましたが。
それはそうと、湖南菜館、行きたいな。明日あたり、行ってみるとするか。