イノベーションのジレンマという言葉を聞いたことがあるでしょうか? ハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・クリステンセン教授が1997年に提唱した理論です。Wikipediaの説明が良くまとまっているので引用してみましょう。
大きな企業においては、規模の大きい既存事業の前に現れる新興の事業や技術は小さく、魅力なく映るだけでなく、既存の事業をカニバリズムによって破壊する危険があるため、新興市場への参入が遅れる傾向にある。優れた特色を持つ商品を持つがゆえに、その特色を改良する事のみに目を奪われ、顧客の別の需要に目が届かず、既存の商品より劣るが新たな特色を持つ商品を売り出し始めた新興企業に大きく遅れを取ってしまうのである。
これを個人に置き換えたらどうなるでしょう? とりわけビジネスキャリアにおいて成功している男性であれば、これまでの多大な努力の上に現在の成功が築かれているというのは事実でしょうが、その努力を継続することが将来の成功(ビジネスであれ、プライベートであれ)にはつながらない、むしろ自分の中にこれまでの自分(巨大企業)を否定するベンチャー・マインド、イノベーション・マインド(新興企業)が必要ということにならないでしょうか?
クリステンセンが書いた「イノベーション・オブ・ライフ ビジネススクールを巣立つ君たちへ」では、まさにこの点を取り上げています。引用してみましょう。
遠く離れた旅先から、仕事の電話をかける。有給休暇をすべて消化するなどもってのほかだ。やるべきことはいくらでもあるのだ。仕事がアイデンティティになる。(中略) スケジュールが厳しくて一緒に過ごす暇がないことを、一番身近な人たちはわかってくれると考える。何しろ彼らは、自分が成功するのを応援してくれているはずだろう?(中略)まずいことに、将来への投資を怠った企業が受ける報いは、わたしたちの身にもふりかかるのだ。
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
- 作者: クレイトン・M・クリステンセン,ジェームズ・アルワース,カレン・ディロン,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/12/07
- メディア: 単行本
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