Experience Prototypistのマルチリンガル子育て+プログラミングブログ

Design Thinking、語学(英語、中国語、韓国語)、日中マルチリンガル育児、littleBitsやRaspberry Pi, Arduinoを使ったExperience Prototypingネタ。

乳児の口の役割はこう変化する〜パパ、ママと呼べるまで

あなたの口は何のために付いているんですか?と聞かれたら、どう答えるでしょうか?

人間だって動物なんだから、というところに視点を置けば、食べるため、飲むため、吠えるため、あとはこんな冬の日には風邪ひいて鼻が詰まってしまった時には呼吸のためといった理由が考えつきそうです。毒物を取り込んでしまった際に吐くため、というのもあるかも知れません。

より人間らしいという観点からすると、言葉を話すためということを指摘してもよさそうです。以前のエントリ「クーイングから喃語、その間に声変わり」でも指摘したのですが、「吠える」と「話す」の間の差は、単に知恵のついた気の利いた内容が言葉になって口から出るということ以上に、「吠える」際に使う発声器官と「話す」際に使う器官はそもそも同じではないのです。


上のような観察に至ったのは3ヶ月くらいのことでしたが、最近、息子も5ヶ月を過ぎ、離乳食を始めましょうか、といった時期になりました。離乳食時期を迎える前に息子に起こった変化は「よだれ」。おっぱいを飲むのによだれはいりませんが、流動食にせよ固形食にせよ、食べ物を口に含む、飲み込むにはよだれが必要ということで、離乳力までの準備期間に、よだれの生産と流出が活発化しているのが見て取れます。

そうはいっても、作ったよだれを離乳食開始までは他に用途がなく持て余している状態です。そこで何を始めるかというと、唇を震わせて「ぶーぶー」音を立てて遊び始めました。いつもの自分の声に加えて、変なブーブー音が鳴るのと、唇の震える感触がおそらく気持ちいいのでしょう。いい気になって飽きずにずっと続けています。

そんな息子の姿を見て、赤ちゃんが初めて話す呼びかけが「パパ」だったり「ママ」だったりというのも合点がいきました。Pの音もMの音も口唇音、つまり一旦上下の唇が触れた後に、離れる際に発せられる音なのですが、離乳食前に覚えた唇の快感を向ける対象としてパパなりママが最適なのでしょう(もちろん、そこに至るまでに、パパやママが赤ちゃんに向かって「パパよ」「ママよ」とインプットしているから、というのはありますが)。

なるほど、これは一大発見だとパパ(私)も結構いい気になっていたのですが、世の中ではすでに論じられていた話題であって、音声学の論文を見てみると、乳児の子音獲得は「[m] = [b] > [p] > [d] > [h] = [n] > [t]」の順だ、という風に言われているようです(正確には獲得順ではなく、出現頻度)。

ことばの習得―母語習得と第二言語習得―

ことばの習得―母語習得と第二言語習得―